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「この世をば」男こと、藤原道長の正体とは?

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おぎたま・今日の一冊
「この世をば(上・下)」 
著者 永井路子 新潮文庫

  • 昭和57年に毎日新聞で連載、従来の道長のイメージを大きく変えた作品
  • 道長を「権力の権化」ではなく「幸運で平凡な人物」として描いている
  • 道長だけでなく、彼と共に活躍した妻たちにも注目!
目次

「道長=権力の権化」なの?

たま

藤原道長と言うとセットで思い出すのが「この世をば 我が世とぞ思ふ望月の 欠けたることも なしと思へば」という和歌だね

おぎ

はいはい、あの有名なやつね。おぎ的に訳すと 
月は満月 みんな満点 満願叶って俺は満足!」って感じかな

たま

道長、かなり調子乗ってるな。。
でもまあそうなるよね

藤原道長といえば、平安時代を代表する政治家。藤原氏による摂関政治の全盛期に君臨した人物として、学校の授業でも必ず出てくる超有名人です。その道長が、とある宴会で詠んだと言われるのが「この世をば」で始まる和歌。望月(もちづき)というのは陰暦で15日の夜の月のこと、つまり満月のことを指します。この歌の意味をもう少し教科書的に訳してみると

この世は、もはや私のものだと思うのです。
満月に欠けたところがないように、私は完璧なのです。

という感じ。

自分の娘たちを次々と天皇や皇太子の后にすることに成功した道長が、一族が集まる宴会の席でドヤ顔で披露した“栄華を極めた藤原道長”を象徴する歌として知られています。

たま

高校の授業でこの和歌を習った時は、「権力大好きオヤジ!」って感じがして、道長って嫌なヤツだな〜って思ってたよ

おぎ

この和歌や道長の功績だけを見るとそう思うのも仕方ない。でも、道長を「実は平凡で目立たぬ人」として描いた本もあるんだよね

たま

お?それ、2024年のNHK大河「光る君へ」の道長の
キャラ設定に近いね

「光る君へ」の道長像は?

 2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主役は、『源氏物語』を生み出した紫式部。古典オタクの私たちとしては待望の平安モノです。大河の公式ページを覗いてみると、藤原道長は紫式部の執筆活動に欠かせない男性として『紫式部が生涯心を寄せ、陰に陽に影響しあいながら人生をたどる、いわばパートナー』として登場するようです。

「光る君へ」で藤原道長はどう描かれる?

藤原道長

<役柄>
平安の貴族社会で、最高の権力者として名を遺した男性。名門、藤原北家ほっけに生まれ、兄の道隆、道兼の陰で、一見目立たない、しかしどこか光るもののある青年貴族に成長する。やがて思わぬ事態が重なり、若くして政権の中心に躍り出ることに。戸惑いながらも、次第に政治家としての力をつけていき、その非凡さが表出。道長は、娘たちを次々と天皇のきさきとし、続く代々の天皇の外戚となることで、頂点に上りつめていく。


引用元 NHK2024年大河ドラマ「光る君へ」紫式部 生涯のソウルメイト・藤原道長役は柄本佑!

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=36190

おぎ

道長役は柄本佑さんが演じるんだよね!
もう期待しかないわ

たま

最初は目立たないけど徐々に頭角を表す…
そんな、道長の変化に注目したいね

永井路子が40年前に示した道長像

 「光る君へ」の道長も気になるところですが、今から約40年前に永井路子さんが描いた道長もとっても魅力的です。トラブルが起きると、口癖のように「ああ、何たること!」と思い悩んだり、倫子と明子という二人の妻の間を行ったり来たりしてみたり…と、人間味あふれる人物として描かれています。

若き日の道長、評価は散々!?

 「この世をば」で道長が最初に登場するのは、二十二歳の時。後に正妻となる倫子にアプローチをかけるのですが、その道長を描写する際の永井路子さんの評価はかなり辛口なのです。

 (略)目鼻立ちだが、残念ながら人並み以上の出来ではない。(中略)取り立てた特徴もなく美貌には程遠い。その顔立ちにふさわしく、性格的にもまさに平凡児(略)

引用元 この世をば(上)」新潮文庫

 「道長は娘の婿に相応しいか?」と吟味している倫子の父親は、さらに辛辣な言葉で道長にダメ出しして結婚に反対するほど(父親はいつの時代も娘の彼には厳しい)。若い頃の道長は、できがよくて何かと目立つ兄たちに埋もれ、“たいしたことない男”と周囲から思われていたようです(そして、本人もそう思っていたりする)。
しかし、こんな風に紹介されると読んでいる側としては、逆に「どうして、その道長が権力の頂点に立てたんだろう?」と、気になってくるのではないでしょうか?

  「この世をば」では、教科書に出てくる偉そうな政治家・藤原道長が一人の人間として生き生きと描かれています。その他、紫式部はもちろん道長の正妻・源倫子(ドラマでは黒木華さん)や、もう一人の妻・源明子(ドラマでは瀧内公美さん)たちの胸の内なども綴られていて、現代を生きる私たちが読んでも共感する点がかなりたくさんあります。来年の大河ドラマに出てくる登場人物がたくさん出てきますので、予習を兼ねて読んでみてはいかがでしょうか??

たま

永井さんの作品では、道長があの和歌を読むシーンも出てくる
大河であれがどう描かれるのかも楽しみだよね

おぎ

まさにそれ!そして、その歌を聞いて、後の世に伝える重要人物・藤原実資ことロバート・秋山竜次さんの演技も見ものですな!

たま

げに、げに!

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